10段階偏差値をUPさせる思考法
九州大学
の過去問を徹底講義!
旧帝大を目指している受験生必見!九州大学の英語過去問を例に取り、英文解釈の正しい考え方を解説しています。参考までにですが、感覚的な解き方ではなく、論理的に正答を導き出せる解法もお伝えします。偏差値10アップを実現する、そのための答がここにあります。(※2013年当時)
難易度の判定は、当サイト独自の基準によるもので、受験指導のプロである予備校や塾、学校などと異なることもあります。当サイトは受験のプロではないので、あくまで参考程度にとどめてください。
~九州大学の入試問題難易度~
- 国語:
★★★★☆
- 英語:
★★★★☆
- 数学:
★★★☆☆
旧帝大の一角を占める九大は、全教科とも記述式解答が基本。記号問題は数えるほどしかありません。論理的に問題の主題を捉え、出題者がどのような意図を持って問題を作成したのかを考えた上で解答を書かなければ合格点突破は難しいでしょう。
まず国語ですが、文学部以外では3,000字前後の論説文2つで構成されており、時間との勝負。文学部は現代文が1題に減る代わりに古典が2題となるので、やはり速読速解が求められます。記述量も多いので、短時間で確実に“人が読んで意味が分かる文章”を書かなければ合格は見えません。
次に英語ですが、問題文がわりと平易な一方、記述問題のオンパレードなので論理的思考力がないと対応困難。また、和文英訳では文中でもっとも読みづらい部分にピンポイントで傍線を引いてくるので、構文解釈の力が必須です。
最後に数学ですが、全問とも計算過程を記述する必要があり、完答できなくても部分点がもらえる可能性あり。ただ、文系の受験生から見ると難しい問題ばかりなので、多量の演習を積んで問題をパターン化して処理できるレベルになっていないと苦しいでしょう。
英語
次の英文を日本語訳しなさい
Whether he played or not was not a matter of great importance; the team needed his support.
-
答:彼が試合をするかどうかはそれほど重要な問題ではなかった。チームは彼のサポートを必要としていたのだ。
- 【解説】
-
英文和訳としては平易な問題。一応、従属節を伴っているので、それぞれについて品詞分解して分析してみましょう。
Whether he played or not→従属節
S VWhether節そのものは非常シンプル。Whetherによって導かれる名詞節は“~かどうか”という意味になりますので「彼がプレーするかどうか」という意味。
ちなみにifを名詞節として用いた場合も同じ意味になりますが、今回のケースではwhetherしか使えません。後ろの節を見るとwhetherにはじまる名詞節は主語になっています。主語になる名詞節ではifを用いることができないのです。仮主語itを置いて、後から真主語として名詞節を置く場合にはifでもOKですが、今回のケースだとwhetherになるのです。
具体的にいうと“It is not important if he play or not.”と“It is not important whether he play or not.”はどちらも正しい文。しかし“If he play or not is not important.”は誤文であり“Whether he play or not is not important.”となるべきなのです。参考までに覚えておきましょう。(Whether節)was not a matter ( of great importance)→主節
S V C 前置詞句(形容詞句)次に主節を見てみましょう。従属節であるWhether節が全体として主語。be動詞を用いた単純な第2文型です。前置詞句は形容詞句として働き“2語以上の形容詞句は後ろから名詞を修飾する”というルールに則りthe matterを修飾します。
これを訳出すると「(whether節)は大して重要な問題ではなかった」となるわけです。; the team needed his support.
S V Oここは説明の必要も無いでしょう。セミコロン以下は中学生でも読める英文です。ちなみにコロン、セミコロンに該当する記号が日本語にはないので、和訳する場合はいったん切って2文に分けてしまって結構です。
コロンやセミコロンは2つ以上の内容を並列したり、論理的に接合したい場合に用い、コロンのほうが2要素の論理的結合力が強く、セミコロンはやや弱くなります。ただ、日本語訳するときに気にする必要はありません。あくまでニュアンスの問題です。そもそも、日本語にない概念を訳出することなど出来ませんから、2文に区切ってしまったほうが賢明。これが翻訳の限界というものです。
以上の内容を理解できていれば、上述の模範解答に辿り着くでしょう。もし、セミコロンのニュアンスを少し加えたいのであれば、最後の部分を「チームが彼のサポートを必要としていたからだ」として、前半部分との関連を印象づけても良いかもしれません。ですが受験生がそこまで考える必要はないでしょう。もはやプロの翻訳家が悩むべき問題です。
次の英文を日本語訳しなさい
Of course, there are circumstances in which making some of these decisions may be the best thing to do.
-
答:もちろん、このような決定を下すことが最善の行為かもしれない、という状況もある。
- 【解説】
-
非常に入り組んでおり、日本語訳が困難な英文です。まずは英文解釈の原則どおり、節ごとに文構造を把握していきましょう。
There are circumstances→主節
V S“There is~/ There are~”に始まる節は、無条件で第1文型です。この部分は訳も簡単。「状況がある」ですね。論理的に考えて、どんな状況があるのかを説明しなければ文意が成立しませんので、どんな状況があり得るのか後ろの部分に書かれているはず。このように次の内容を予測しながら英文を読み進めてください。
ちなみにthereを主語だと勘違いしている方が時折いるようですが、副詞であるthereが主語になることはありません。英文法では“副詞を文頭に持ってくる場合、主語と動詞の位置を入れ替えて倒置文にしなければならない”というルールがありますので、それに従って倒置されているのです。
簡単な具体例を挙げると分かりやすいでしょう。My pencil is on the desk.(私の鉛筆が机の上にある)
S Vこの英文について「机の上に」という場所を強調したい場合「そこに」という副詞を用い、それをあえて強調のために文頭へ持って行きます。そうなると副詞が文頭に来ることで主語と動詞を倒置する義務が生じ、次のように変化するわけです。
There is my pencil on the desk.
V S実は“There is~ / there are~”というのは、こういったルールに基づく例外的表現なのです。日本の中学校では、これをあたかも“this is~ / that is~”の仲間のように扱って教えているため、高校生や大学生になってもthereの文法的意義を理解していない学生が非常に多くいます。良く「文法なんか役に立たない」と言う方がいますが、役に立たないのは中学や高校で教えている学校文法であって、英文法が役に立たないわけではありません。英語を教えるべき人間の文法力不足のせいで、必要以上に理屈を簡略化して形骸化してしまった学校文法が幅をきかせ、非論理的な英語指導が横行しているわけです。是非、この機会に本物の英文法を身につけてください。
in which making some(of these decisions)may be the best thing to do.→従属節
S 前置詞句(形容詞句) V C (形容詞句)この関係代名詞whichが導く節は形容詞節です。今回は前置詞+関係代名詞という形になっていますので、節の内部で目的語が不足することはありません。節は完全な文型を取っています。関係代名詞も名詞の働きをする以上、前置詞の目的語として前置詞句をつくることができます。であれば後ろで不足するのは前置詞句であり、文の要素となるべき名詞が欠落することはありません。
分かりやすくするために欠落部分を先行詞で埋めると次のようになります。making some(of these decisions)may be the best thing to do in circumstances
S 前置詞句(形容詞句) V C(形容詞句)前置詞句(形容詞句)こうすると、訳が出しやすくなるはずです。主語と、そこに連なる前置詞句までを訳すと「このような決定を下すこと」になりますね?
続きを訳すと「状況の中で、なすべき最高の行為かもしれない」ですから、先行詞が入るべき部分を抜いてつなげると「このような決定を下すことが、なすべき最高の行為かもしれない」となるわけです。
これを前半部分と接続して日本語を微修正すれば、模範解答に挙げた日本語訳にたどり着けるでしょう。
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国立大である九州大学は、日本語訳や傍線部説明の問題が大半を占めており、記号選択の問題はほとんどありません。英文を正確に読解し、その内容を論理的に処理する力がなければ正答を導き出すことは不可能でしょう。必要に応じて英文を解剖し、品詞分解をしながら論理的に読みこなす力を早急につける必要があります。西きょうじ著『英文読解入門 基本はここだ』、薬袋善郎著『英語リーディング教本』、富田一彦著『英文読解100の原則』などを利用し、英文法のルールにあてはめて英文解釈する技術を身につけてください。もちろん、使用教材などは、相性が大事ですから、一つのものに「これだけだ」ととらわれず自分との相性が良いものを見つけましょう。
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